【MCPミャンマー紀行vol.14 故郷のお菓子 トーモウン】
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本日のミャンマー紀行はちょっと趣向を変えて、服部こまこさんのマレーシアとミャンマーを繋ぐお菓子のお話です。
故郷のお菓子 トーモウン⁻服部 こまこ
ミャンマーから近いマレーシアには、15万5000人以上のミャンマー出身の難民がいます。最多がロヒンギャ(67%)、次に多いのがチン(15%)、ほかの18%には、カチン、モンなどの少数民族やビルマ族が含まれます。(UNHCR 2021年8月統計、難民申請中を含む。)
私は2年前までマレーシアに住んでいました。そこでミャンマー出身のチン難民の若者や子どもたちに出会い、親交を深めました。彼らの多くは高い山々が連なる北西部のチン州生まれ。幼い頃に故郷を出て母国を知らずに育った子、マレーシアで生まれ子たちもいます。
2019年に帰国することになったとき、私はまだ訪れていなかったミャンマーに行ってみたい、ヤンゴンに数日間でも滞在してみたいと思いました。「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、伸び盛りだった国を見てみたい一方で、多くの難民が出ているのは一体どうしてだろう?という疑問もありました。とにかく一度は行っておこうと思ったのです。
そして、故郷を離れて久しいチンの友人たちに、母国でしか手に入らなくてヤンゴンで買えるものがあるなら持ち帰りたいと思いました。でも、彼らの答えは「ヤンゴンは自分たちの故郷とは全然違うと思う。行ったことがないし、何もいらないから大丈夫。」
それならば、「懐かしいお菓子は?」と尋ねると、みんなで相談して写真を見せてくれたのが、トーモウン(htou moun) でした。
ココナッツをまぶした半透明のお餅のようなお菓子。モッチリしていて見るからにおいしそう。これを絶対に探してこよう!と決めてヤンゴンに向かいました。
とはいうものの、初めての慣れない街で、そのお菓子はなかなか見つかりませんでした。
箱の写真をよく見ると《マンダレー銘菓》と書いてあります。
インドとの国境にあるチン州出身の人たちにとって、ヤンゴンよりも中部マンダレーの方が身近だったのかもしれません。
そこで、現地で知り合った地元の人にトーモウンが買えるお店を尋ね、案内してもらいました。そこには、レーズンやナッツを載せたものもあり、紅茶と試食品がどんどん出てきて長居したのも良い思い出です。
マレーシアに戻りチン難民の学校に届けると、みんなとても喜んでくれました。「これ懐かしい!」とほおばる高学年の子や先生たち、そしてマレーシア育ちのちびっ子たちも「おいしい」とパクパク口に入れていました。
私はモチモチ食感とナッツの香ばしさが日本の「くるみゆべし」に似ていると思い、いつかそれもみんなで食べたいと思いました。
ミャンマーコーヒーのお供に、もう一度あの素朴でおいしいトーモウンを味わいたいです。
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